@techreport{oai:nier.repo.nii.ac.jp:00000673, author = {深堀, 聰子}, month = {Mar}, note = {本研究は、学習成果アセスメントの導入にむけて、政府・専門団体・大学等が、議論を展開したり、体制を整えたり、実際に導入したりすることによって、大学における教学体制や管理運営のあり方、大学の質保証システムの構成や重点にどのような変化がもたらされるのかを、欧米アジア11か国の事例に即して明らかにすることをめざすものである。学習成果アセスメントに係る検討は始まったばかりであり、実際に導入している国は一部にとどまっている。したがって、そのインパクトを網羅的にとらえるには時期尚早であるが、この研究をとおして次の3点が明らかになった。 第一に、本研究でとりあげたいずれの国においても、学習成果の評価にむけた議論が展開された結果として、大学の質保証システムの重点がシフトし、学習成果重視の質保証アプローチへと転換がはかられている実態を確認することができた。その二つのタイプとして、参照基準としての学習成果を導入することによって、大学教育の範囲と水準に緩やかな標準性をもたせるタイプ、および大学教育の多様性と自律性を強調し、事後の学習成果アセスメントを志向するタイプを見出すことができた。 第二に、大学教育の範囲と水準に緩やかな標準性をもたせる質保証アプローチをとるタイプでは、教学体制に重要な変化が生じてきていることが明らかになった。学習成果の習得を要件とする単位認定の制度が確立されたり、単位や学位の互換性や等価性を保証する仕組みが導入されたりしているのである。このことは、カリキュラム編成のパラダイムが「教員が何を教えられるか」から「学生に何を学ばせるべきか」へと転換してきていることを意味している。 第三に、事後の学習成果アセスメントを志向する質保証アプローチをとるタイプでは、学習成果アセスメントの開発・導入をとおして、その可能性と課題についての理解が深まり、経験が蓄積されてきていることが分かった。透明性をもたらす学習成果アセスメントの必要性に対する一定のコンセンサスが形成されるとともに、それが提供する客観的情報の妥当性に係る課題も明らかになってきた。教育内容と教育評価の整合性が重要であることや、アセスメントによって測定可能な知識・技能・態度が限定的であることについての認識も高まってきた。これらの知見が、今後、より洗練された学習成果アセスメントのツール開発に十分に活かされることが期待される。}, title = {学習成果アセスメントのインパクトに関する総合的研究(研究成果報告書)}, year = {2012} }